02実例(参考に)

大阪府立北野高校

 淀川の堤にも春の息吹の感じられる今日の佳き日、ここに大阪府立北野高等学校第55回卒業証書授与式を挙行することができますことは、誠に喜ばしい限りであります。
 最初に、公私ご多用中にもかかわりませず、晴れの卒業の日を迎えた若人のためご臨席を賜りました、大阪府教育委員会から竹村首席指導主事様、六稜同窓会副会長 山本次郎様、PTA役員をはじめ多数のご来賓の皆様には、衷心よりのお礼を申しあげます。また、皆様方には、平素から本校教育の推進に格別のご理解とご支援を賜っておりますことに対しまして、この場をお借りして改めてお礼を申しあげます。
 次に、本日ご列席をいただきました保護者の皆様方に心からのお祝いを申しあげます。皆様のお子様方は、校舎改築に伴い生じた様々な不便さに屈することなく、それに倍する青春のエネルギーを見事に燃焼させ、北野のスピリッツである何事にも全力を傾けることを体現し、心身ともに大きく成長されました。一方、この時期は、若人のありあまるバイタリティーの故に、人生における疾風怒濤の時代と形容されているところであり、保護者の皆様方には、時にご苦労もおありになったのではないかと拝察申しあげます。そうしたご苦労が本日、このように頼もしい若人の姿として実を結びましたことに対して、心からの敬意とお祝いを申しあげます。誠におめでとうございます。
 さて、卒業生諸君、ご卒業心からおめでとう。
 難関北野高等学校に入学して以来、真理と正義を愛する人格を涵養するという教育方針のもと、学業に、学校行事に、そして部活動にと、ある時は切磋琢磨し、また、ある時は時の過ぎるのも忘れ、友と語り、涙し、力を合わせ、本日めでたく卒業の日をむかえた諸君一人ひとりの心には、本校で過ごした歳月が走馬燈のごとく、感動、感激としてよみがえっていることと思います。
 卒業式は、諸君一人一人にとって自分の将来への夢や希望に胸ふくらませ、自覚も新たに、力強く、たくましく、我が国の各分野におけるリーダーとなるべく新たな努力への決意を固める最初の日であることを、深く心に刻むよう望みます。
 また、同時に諸君を待ち受ける時代は、かつてないほど人類の叡智を必要とする閉塞状況にあることも直視する必要があります。広く世界を見れば、国と国との、あるいは民族と民族との止むことのない抗争、エネルギーの問題、地球規模の環境問題等々、解決の困難な課題が山積しています。
 我が国をみれば、経済をはじめ社会の様々な分野において従来の枠組みが制度疲労を来たし、新たな構築に向けた生みの苦しみの渦中にあります。
 そのような時代であるからこそ、130年という連綿たる歴史と伝統を有し、誇り高き六稜の一員である諸君は、将来それぞれの進む分野において自己の真価を存分に発揮し、時代の要請と期待に応えてくれるものと確信をしています。そのために、諸君に二つのことをお願いしたいと思います。
 その一つは、諸君のうちに未だ秘められている優れた自分を発見し、磨きをかけ伸ばすこと、すなわち、「未だ出会わぬ自己」を発見する努力を続けることを切に願います。人には一人一人に備わったそれぞれの個性があり、秘められた長所があります。諸君は本校における学校生活の中で自分の才能を発見したことと思いますが、そのことに満足することなく、新たな学びや体験を自ら求め、その中からそれぞれの長所を改めて見いだし、人生の目標に向かって日々努力を重ねて下さい。
 二つ目は、将来を展望し、柔軟な発想と心をもって生きて欲しい。現在が停滞しているからこそ、将来の我が国の発展は諸君の今後の努力にかかっています。些事にとらわれることなく大局的に着眼する力、冷静かつ客観的に判断する力、時代の移り変わりを直視し、幅広く知識を吸収し、知識を知恵に代える力が求められています。常に自分の心を大きく開き、創意工夫への努力を怠ることなく、自分らしさを発揮するとともに、他者にも気配りのできる、厳しさの中にも思いやりのある温かい心を忘れず進んで下さい。
 さて、本校において諸君は、同級生を始め、先輩、後輩と、そして先生方と、これからの人生において、時には懐かしく思い出され、時には励ましとなるであろう、貴重な財産である多くの良き出会いを、そして同時に忘れがたい一つの永遠の別れを経験しました。
 あなた達を最後の教え子としてみまかられた野尻和正先生は、漢詩に託して人間を見つめ、人生を語り、諸君への授業に命の炎を悔いなく尽くされました。妥協をよしとせず、教えることにこよなく一徹であった先生の姿の内には、常に諸君の存在がありました。
 先生の誇りは、天下の英才にふさわしく、諸君は憧れることの真の意味を理解する生徒であることでした。文豪ゲーテの詩に、「ただ憧れを知るもののみ、わが悩み知り給う」という一節があります。人間であり、若者であるからこそ、悩みや迷いを持つのであり、それは、より高いもの、より美しいものへの憧れを心の内に秘めているからこそ抱くものです。諸君が、これからの長い人生において、理想を追求する心をいつまでも忘れないようにとの願いをこめ、憧れ、すなわち「憧憬」という言葉を野尻先生とともに諸君に贈り、スピーチ挨拶の結びとします。
平成15年2月28日
大阪府立北野高等学校
校長 中垣 芳隆
参考までに・・・
大阪府立北野高校HP
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